PCRT研究会
familychiro 4 月 24th, 2010
心身条件反射療法(PCRT)【ニューロパターンセラピー】研究会のご案内
保井志之D.C.
【PCRTをマスターして得られるもの】
症状が改善されなくて困っている多くの患者を幅広く施術できるようになります。
なぜ症状が改善され、改善されないかの本質的メカニズムが明確になり、治療に自信がもてるようになります。
施術をするとその時は改善されるが、来院毎に同じような症状を訴えるような患者に悩まされることが少なくなります。
「治療、施術とは何か」の本質をつかむことができます。
「なぜヒトは治るのか、なぜ治らないのか」
これを話す「前提」として、人間の身体は基本的に治る機能(力)をもち備えているということは認識されていると思います。基本的に擦り傷や切り傷などの傷口は自然に修復されてきます。人間の身体は、外傷だけではなく、様々な症状や病気を治す力を本来もち備えています。しかし、現実には多くの人が様々な慢性症状や病気に悩まされております。では、その治る力を制限しているモノは何でしょうか?
その制限の原因は大きく分けて、「構造的(器質的)な異常」と「機能的な異常」、そして、「脳の学習記憶による異常」に分けられます。自動車に例えると、車のタイヤやシャフト、エンジンなどの部品に異常がある場合を「構造的な異常」で、それぞれの車の部品には異常はないが、電気系統やそれを制御するコンピュータ関係に異常がある場合を「機能的な異常」、そして、最後の「学習記憶による異常」はその車を運転するドライバーの脳に問題があるといえます。
例えば、わき見運転をする脳のクセ、無意識に操作するハンドル、アクセル、ブレーキなどの使い方次第で、事故を起こしやすくなったり、車の消耗を加速させたりします。それは、車の構造や機能に問題があるのではなくドライバーの脳の学習記憶による無意識レベルの習慣によるものです。人間を車に例えるには無理があるかもしれませんが、身体に異常をきたした際、最初に目を向けるのはどこでしょうか?
一般的には、何か構造に異常がないかどうかを病院で検査するのではないでしょうか?もしも、「構造」に異常がない場合、様々な治療院に相談するかもしれません。様々な治療院には様々な治療法がありますが、多くの治療者は機能的な異常、すなわち身体の働きに目を向けます。そして、それでも良くならない場合はどこに目を向ければ良いのでしょうか?
それは、構造異常や機能異常を引き起こす本質的な原因となる「脳の学習記憶」です。なぜならば、脳が、人間の身体を意識的にも無意識的にもコントロールしている司令塔だからです。つまり、病気や健康も脳がコントロールしているといえます。そして、そのプログラムは脳に学習記憶化されて保存されています。慢性的な症状の原因は脳の学習記憶にあり、「なぜ、ヒトは治るのか、なぜ治らないのか」の答えがここにあるのです。
【機械構造論的施術→機械神経論的施術→有機神経論的施術】
様々な施術法(手技療法)を理論別に大きく分けると、
機械構造論的施術(構造優先型)
機械神経論的施術(機能優先型)
有機神経論的施術(学習記憶優先型)
に分けることができると思います。
機械構造論的施術は、ヒトの身体の部分を機械の歯車のように捉えてそれを修理し、調整するという考え方です。神経系との複雑な関係性を考慮して施術することはありません。腰痛などの例では、背骨の位置的なズレを症状の原因とする考え方で、背骨の位置を手技にて矯正する手技療法が主体になります。
機械神経論的施術は、神経→筋肉→骨(関節)の肉体内の循環的な関係性に基づいて、ヒトの反射系の作用を利用して、神経系の機能異常の改善を主な目的とする施術になります。肉体内の神経、筋肉、骨(関節)との関係性を診る施術としては有機的な施術法といってもいいかもしれません。
そして、最後の有機神経論的施術は、外界からの刺激情報が脳・神経系に病的に学習記憶された結果、神経系に影響を及ぼし、筋肉系→関節に症状を生じさせるという考え方に基づいていますので、脳・神経系への病的な学習記憶(条件付け)を健全な学習記憶に切り替える施術が主な目的となります。
施術者の基礎教育の多くは、西洋医学的思想を主体とした機械的構造論からスタートすることがほとんどです。私自身も機械構造論的施術からスタートしましたが、「ヒトはなぜ病気になり、なぜ治るのか、なぜ治らないのか」をテーマに臨床研究を積み重ねていると、「外界→脳(心)→身体との関係性」を考慮した施術でなければその答えには近づかないということが明らかになってきました。
世界中に様々な施術法がありますが、多くの施術法は、機械構造論的施術から機械神経論的施術に基づいた肉体内だけの構造異常や機能異常を問題とする施術法にとどまります。外界との関係性を検査し施術する有機神経論的な施術に言及することは少ないようです。コンピュータ用語で説明するとハード面の施術にとどまり、それぞれのソフト面に対応するオーダーメイドの施術には及ばないということになります。
【脳科学の基礎】
さて、なぜ、外界との関係性を診る有機神経論的な施術が必要なのかを脳科学的に少しご説明させていただきます。
ご存じの通り、脳は構造的に大きく分けて三層構造になっており、脊髄、脳幹から構成される「生命の脳」、大脳辺縁系から構成される「動物の脳」、大脳新皮質から構成される「人間の脳」から形づくられております。
神経系を3段階の機能的な基本構造に分けると、
1)脊髄、脳幹
2)大脳基底核、小脳、大脳辺縁系
3)大脳新皮質
に分類されます。
【脳の基本的機能系】
1)脊髄、脳幹
一番底辺にある脊髄と脳幹は、様々な刺激に対して機械的に反応する反射系で、その反射は100種類に及ぶといわれています。その上のシステムは複合反応系で反射系よりもより複雑な神経機能をもっており、歩行や泳ぎのようにリズム発生器を含み、そのシステムの中枢も脊髄や脳幹に局在しています。次いで、飲食や性行動などの生得的行動系があり、それはさらに複雑な神経機能をもっていますが、刺激に対する反応は機械的で、その中枢は視床下部に密集しています。
2)大脳基底核、小脳、大脳辺縁系
これらの反射系、複合反応系、生得的行動系の働きは機械的な性質しか持っていませんが、これらが有機的に統合されて働くためには上位の小脳、大脳基底核、大脳辺縁系の助けが必要になります。
大脳基底核は選択により脳幹の機能系の多様な刺激・反応関係を安定させる働きがあるといわれています。小脳は脳幹の機能系に適応性を加えて、反射や複合反応の刺激・反応の関係を外部環境条件などに合わせて変化させます。大脳辺縁系は扁桃体、海馬、帯状回などの部分から成り立っており、記憶や五感に関する情報が通過して、様々な感覚と情動との交差点になります。
3)大脳新皮質
大脳新皮質は、感覚野と運動野のほかに、相互につながり合う前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野の三つの領域から構成されております。前頭連合野は理性をつかさどる大脳の最高部位で、人間らしい高度な思考能力や感情のコントロールを行うところです。前頭連合野の理性的な高度な感情と大脳辺縁系の動物的な「快・不快」「好き・嫌い」情動との関係性は、外界からの刺激による心理社会的なストレスを生じるところでもあり、自律神経系や内分泌系に命令を出す視床下部に多大な影響を及ぼします。
【外界との関係性の中で生かされる脳】
このような脳科学の基礎的知識からも、ヒトという高次元の機能をもった生物を診る際、外界との関係性を網羅する大脳辺縁系や大脳新皮質のレベルを考慮した施術法は必要不可欠ではないでしょうか。反射系を主体とする爬虫類などの生物と同じレベルでヒトを診る場合には、外界との関係性を考慮する必要はないかもしれません。
実際に外界との複雑な関係性を考慮せずに、ヒトの反射系をモデルにして、虫などのロボットを創ることは可能です。虫のロボットが故障した場合、部品や電気系統、コンピュータ制御を修正するだけで修理は可能でしょう。しかし、様々な五感情報を入力して複雑に認識、制御、価値判断、運動処理などの機能を経て、言語、運動、思考、行動を出力する「人間の脳」は、様々な環境の中で適応しながら生命活動を営んでおります。そのような複雑なヒトを施術する際、単に反射系の施術だけでは本質的な施術とはいえません。
また、医学的研究の多くは、試験管内での閉鎖的な空間の中で、客観的な科学的評価を行いながら研究し発展してきました。その延長線で、病気の因果関係を考える上で、外界との関係性を無視して、健康の因果関係に言及する傾向があります。厳密な科学的な評価とは、試験管内で同じ条件下で行われなければ科学的な評価とはいえません。しかし、複雑なヒトの心を同じ条件下にするのは不可能です。ヒトを対象とする健康に関する因果関係を確かめる唯一の手法は疫学調査といわれています。これは、外界との環境にさらされているヒトを対象にして数年間さかのぼって追跡調査する手法です。
人間は意識という高次の機能をもち備えている以上、五感を通じて様々な情報を入力し、処理しております。脳内ではその感覚情報を無意識的に処理して、学習記憶し、運動処理情報を出力します。その五感情報から入る感覚情報の条件を一定に保って治療法の効果を判定するのは困難です。それゆえに生きた人間を厳密に科学的に評価するということはとても困難なのです。
症状や病気の改善のお手伝いをする治療者にとって、人体の解剖学的構造、神経生理学的な機能やメカニズムを詳細にわたって知ることはとても大切なことですが、肉体内の遺伝子レベルの機能やメカニズムがこと細かく分かっても、人それぞれに外界との関係性による脳の情報処理の仕方は異なります。その情報処理の仕方、すなわち学習記憶のパターン次第で人間は病気を創り、また、その脳への入力と出力の情報処理の仕方で病気や症状を治すことができます。つまり、脳に入る外界との関係性を診ない限り、閉鎖系で人間の症状や病気のメカニズムだけをこと細かく検査しても本質的な成果が生まれにくいということになります。
【PCRTの本質的施術】
様々な症状や病気は脳が創り、脳がその症状や病気を治します。脳に保存されている病的な学習記憶を変えれば様々な症状が改善されます。PCRTはその病的な学習記憶を治療目的で健全な学習記憶に切り替える治療法です。心と身体の関係性を診る本質的な治療法は、複雑で熟練が必要だと思われがちです。実際にメンタル面にフォーカスし過ぎると、複雑になる傾向があります。
PCRTでは永年の臨床研究を通じて、複雑になりがちな手法をシンプル化して施術を進めることが可能になりました。現在では症状を引き起こしている「学習記憶のパターン」を脳科学の理論に基づいて説明し、プロトコルを進めるようにしています。メンタル面にフォーカスし過ぎることなく、ゲーム感覚で治療手順が進められるように構成されております。段階的に、かつ着実に原因と結果の因果関係が明確になり、その結果症状が改善される手法が可能になっています。本研究会は、難しい内容を難しく語るのではなく、難しい内容をよりシンプルに分かりやすく説明し、しかも、奥深い本質的な内容のポイントを学習していくことを目指しています。
「どんなことも、できるだけ単純であるべきだ。しかし、単純すぎてはいけない。」
―アルバート・アインシュタイン
参考文献:脳・心・コンピュータ 松本元責任編集丸善、図解雑学 脳のしくみ 岩田誠監修、図解雑学 ストレス 渡辺由紀子・渡辺覚著
症例報告などのPCRTに関する情報は下記のHPにてご覧になれます。
http://www.mindbody.jp/
http://www.familychiro.co.jp/weblog/
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