重度の顎関節症からの改善
familychiro 5 月 7th, 2011
6か月前よりかみ合わせが悪くなり、顎関節の症状で歯科治療を受ける。なかなか治療効果が得られずに、歯科医院を転々として、現在、4件目の歯科医院のところで治療を受けているとのこと。特に3件目の歯科医院では、同意を得ることなしに、前歯を削られてショックを受けたらしい。現在の歯科の先生は、ゆっくりと丁寧に説明してくれるので安心して治療を受けているとのこと。
しかしながら、顎関節症の症状は改善されず、ファミリーカイロに来院。来院時は、食事や話すこと自体が辛くなってきているとのことで、かなり日常生活に支障をきたしているという。また、口の中に石ころがあるような感じで、舌をどこに落ち着かせればいいのかも分からなくなっており、舌をかむことが多くなってきていた。初診(一回目)の施術で、かみ合わせが明らかに変化し、しばらくぶりの改善に喜んでいただき、継続治療を開始する。
6回目以降の施術では、ほとんど顎関節に関連する異常反応は無くなり、口の周りの口輪筋や舌の動きで反応が示されていた。9回目の施術では、初診時の異常反応に比べて、かなり軽減していたので、通常では症状が改善してもおかしくはないはず。来院時には毎回「今日はどうですか?」と施術前に尋ねると、毎回「変わらない・・」といわれる。
しかし、毎回の施術直後に「症状はどうですか」と尋ねると、毎回「いいです。(改善している)」という。この繰り返しが、初診時から継続していたので、もしかすると、以前の歯科治療でつくられた何らかの「信念体系」が背後に隠されているのではないかと察して、過去のいきさつについて質問し、検査をしてみると、『前歯を治して、奥歯を治さないと善くならない。』という信念があるということが分かった。つまり、前歯や奥歯が治らないのに、症状が改善するということは、その信念に反するのである。
さらに質問をしてみると、以前受けていた歯科の顎関節の治療では、その先生なりの理論があったそうで、その理論通りの基準で治療をしてもらったが、結果的には症状が改善されなかったとのこと。しかしながら、歯科で植えつけられた基準、すなわち、『前歯を治して、奥歯を治さなければ治らない』という理論だけは、しっかりと学習されていた様子。現在行っているテンプレートの治療も、「その治療の基準は何ですか?」と尋ねると、患者さんは「???」。「恐らくその基準は、患者さんの主観、つまり、患者さんが良くなりましたと言えば、必要なくなるのではないですか?」と尋ねると、「その通りです」という。
このようなことを色々と質問させていただいて、患者さんもその理論の矛盾に気づかれたようで、その偏った信念体系のパターンを開放する施術をさせていただいた。そして、10回目の来院日に「どうですか?」と尋ねると、初めて、「それがいいんですよ・・・」と、安心の笑顔で答えてくれた。実際の検査でも口輪筋の異常反応も消失しており、「反応の消失」と「症状の改善」がほぼ一致するようになった。しかしながら、さらに次の段階に検査を進めると、舌を前に突き出す動作や吸引させる筋肉の動作などでの反応がでていたので、もう少し継続治療が必要だが、6か月間の悩みはかなり解消され、自分の体に自信を持っていただいている様子。
無意識に創られた「信念体系」は、治る力をかなり制限させるということを改めて認識させられた症例である。この信念体系がすべての原因ではないが、明らかに治癒力を制限させている。このような傾向は長い間症状が改善せずに、病院や治療院をいくつか転々とされた患者さんにみられる。本来は、適切な治療を受ければ治るはずの症状も、自分の身体に自信が持てないように、知らず知らずのうちに脳が学習し、強化されているのである。
一般的に顎関節症などの症状があると、歯科医院に相談されることが多いのかもしれない。もしも、構造的な問題があるのであれば、必要になるかもしれない。しかしながら、顎関節症の問題の多くは、筋肉系、神経系の問題にあり、構造的な問題が症状につながっていることは臨床上少ないようだ。
筋肉系や神経系のバランス調整はカイロプラクティックの得意とする分野であり、構造的な異常を見つけ修正するのは歯科医療が得意とする分野である。どちらも大切な医療であはるが、特に顎関節症の場合は、まずは、筋肉系や神経系のバランス異常を整えたうえで、必要であれば構造異常の修正を行う方が理想的だろう。
簡単に言えば、もしも、筋肉系と神経系のバランスが悪いまま、かみ合わせなどの調整を構造的にしてしまうと、筋肉系が歪んだままで、歯の構造異常が調整されることになる。そして、筋肉系の歪みが正常になった場合には、今度はかみ合わせが合わなくなるというような悪循環を繰り返しかねないだろう。
さらに言えば、歯科矯正が大人になっても行うことができるということから考えると、歯の位置関係というものは、微妙に変化して、位置を変えて、身体に適応できるようになっているのである。つまり、歯に多少の構造的な異常が生じたとしても、筋肉系と神経系のバランスが正常であれば、そのバランスに適応できる能力、すなわち構造異常を修正できる能力を本来持ち備えていると考えた方が自然だろう。
そのような適応能力を有機的機能といい、これは人間の素晴らしい能力でもある。人間は機械仕掛けのロボットではない。よって、有機的機能をもつ筋肉系や神経系との関係性を無視して、それを機械論的に考えて治療を行うと、変化に適応できずに無理が生じるのである。また、有機的な人間を診る際、さらに大事なことは、筋肉系、神経系、そして、神経系に影響を及ぼすメンタル系をも考慮して施術を行わないと全体的、統合的な施術とはいえないのである。
機械論的思考が先行する医療現場で、どれだけの医療従事者が、この有機論的思考に基づいて施術に当たっているのだろうか?