familychiro 6 月 3rd, 2011
治癒することが困難な症状を長い間経験すると、その症状や病気を治すことが人生の目標や目的になることがある。そして、それを治すことに専念するために、仕事を辞め、周囲からも「頑張れ!」と応援され、病気を治すことが人生の生きがいかのようなシナリオができてくる。
そのような負のサイクル、あるいはパターンに入っているかどうかを判断する場合、「その症状や病気が治った後、何をしていますか?」というような質問をするとある程度推測できる。
その質問に対して、明確な答えが出てこない場合の多くは、もしも、病気が完治した場合、今まで病気を治すために歩んできた道のりが閉ざされることになる。そして、病気が完治した時点で、あたかも生きている目的がなくなってしまったかのように錯覚をしてしまうのである。
今までは、病気を治そうとする目的で、自分自身の存在価値を維持していた状態から、病気が治ることで目的喪失状態になり、存在価値までもなくなったかのように錯覚をしてしまうのである。
そのようなパターンにハマっている患者さんは、病気が治ったら好きなことをしたいという漠然としたイメージはあるものの、実際に「何をしますか?」という質問に対して答えられないことが多い。
生きることが精いっぱいだった戦後の混乱期とは異なり、普通に生活して生きていける時代では、人生の目的喪失は大きな問題である。
人生の目的がないと生きていけないわけではないが、人生の質を高めるためには、未来に夢や希望を抱いて、規模の大小にかかわらず、身近な人や社会に役立つことを目的にした方が、人間としての価値を感じ、明るい未来が開けるのではなかろうか?
未来に希望がないということは、例えていうならば、暗闇の中をさまよっているようなもので、不安が募るばかりだろう。目的とは、その暗闇にスポットライトを当てて、道をつくるようなもので、安心して一歩一歩歩いていくことができる。
「ガン」や「難病と指定された病気」などの宣告を受けると、「一生を病気のために戦う」といったパターンにハマってしまい、治る病気も治らないという負のサイクルから抜け出せないケースが多いように感じる。
そのような患者さんの場合、「病気が治ってから、次の目的を考える」という思考パターンが多いので、あえて、「病気が治ったという前提で、その後には何をしていますか?」という質問をさせていただく。
闘病生活のパターンにハマっている多くの患者さんは、その質問にすぐに答えることが難しく、答えられても抽象的な答えが多く、具体的な行動に結びついていないケースがほとんどである。すなわち、闘病生活自体が人生の目標になって、負のサイクルを繰り返しているのである。
一方、例え難病の診断を受けた患者さんでも、具体的な行動に結びついた未来のビジョンが描ける患者さんは、その難病を克服したかのように経過が良好で未来が明るい。
未来を想像することには、実質的には何も失うものはなく、想像力をフルに活用していただければ良いのだが、闘病生活の負のサイクルにハマってしまっている患者さんにとって、具体的な行動に結びついた明るいビジョンを描くのはとても困難な場合がある。
その場合、明るい未来のビジョンを描くためのコーチング的なサポートが効果的である。しかし、それも患者さんが望まなければ、こちらの一方的な押し付けになり、効果は得られない。よって、そのようなコーチング的なサポートができるという情報を提供して、後は患者さんから求められることを待つしかない。
さらに、コーチングの基本条件として、患者さんが望む「理想」がなければ始まらない。それも「病気を治す」や「症状を無くす」、あるいは「問題を解決する」という理想では負のサイクルから抜け出せない場合が多い。つまり、病気や症状、あるいは問題が解決した後、何をしているかという負のサイクルを抜け出した後の時点での理想である。
アインシュタインは「想像力は知識よりも大切である」というメッセージを残した。この意味は、知識が想像力よりも劣るとか役に立たないとかいう問題を指摘しているわけではないだろう。想像力を作り出すためには知識がないと創りだせないのも事実である。
アインシュタインほどの天才が、知識を最高レベルに高めても、知識には限界があり、それを超えるためには、知識ではなく「想像力」が大切であるということを言っているのだと思う。
自分の人生を決める「想像力」を高めるためにはどうしたらよいのだろうか?まずは、上記のように「知識力」や「情報力」を高めることが必要だろう。ただ、知識や記憶力が高い、いわゆる頭が良いタイプの人は、情報量は豊富だが、今の時代、そのような情報はパソコンで検索すればすぐに引き出せるし、誰かの受け売り情報である場合は、あまり魅力を感じない。
それよりも、幅広い知識や情報を持ち備えているわけではないが、突然、思いもよらない発想をする人は魅力があり、その人の「発想力」や「想像力」によって引き寄せられる感じがする。そのような人は時折、情報不足や知識不足だったりして、ピントがずれている感じがする場合もあるが、やはり頼もしい。
「想像力」は、人生の質を高め、こころを豊かにする源泉になるようだ。