脳に柔軟性をつける秘訣
familychiro 10 月 27th, 2009
先日の健康教室にて、生田哲著の『「脳地図」を書き換える』と、ジル・ボルト・テイラー著の『奇跡の脳』という本をご紹介させていただきました。
この二冊の本で共通して紹介されていることは、脳は劇的に変わることができるということです。
生田哲氏の著書では、65歳で脳卒中から回復した症例、ADHDの少年が水泳のスーパースターになった例、CI療法(強制使用法、制限運動療法)というリハビリ療法で脳卒中の患者が劇的に回復した例などが紹介されています。
ジル・ボルト・テイラー著の『奇跡の脳』では、脳科学の専門家としてハーバードの第一線で活躍していた著者の脳卒中からの奇跡的な回復を紹介している内容で、脳卒中の患者さんたちを勇気づけるストーリーです。
これらの著書に触れて、強調したいことは損傷を受けた脳でさえも、このような症例が示すように劇的に変わることができるということなので、損傷を受けていない人の脳も柔軟に変えることができるということです。
以前の脳科学の考えでは、脳が損傷を受けると、新しい神経細胞は再生されないということが定説的に語られていましたが、最新の脳科学の研究によって、脳の神経細胞が再生されるということもわかり、脳に対する認識が随分と変わってきました。
脳の病気に限らず、慢性疾患やメンタル面の問題においても脳を柔軟に変えることができるのです。なぜならば、人間の働きをコントロールしているのは脳です。「脳が病気を創り、病気を治す」のです。
損傷を受けた脳でさえも脳の可塑性という働きによって、柔軟に変化して、神経回路のネットワークを変えて新たな機能を生み出すことができるので、損傷を受けていない脳はさらに、脳の使い方次第で脳地図を書き換えることができるはずなのです。
たとえば、先に述べたCI療法は、脳卒中後にマヒした腕を回復させるために、麻痺していない正常な腕を強制的に動かせないように拘束して、マヒした腕の回復を試みようとするリハビリ療法で、すこし乱暴なやり方のように感じるかもしれませんが、脳科学的には、とても効果があるということがわかってきています。
ではなぜ、効果があるのでしょうか?
まず、患者自身が治るということを信じているということ。
その患者さんをサポートする回りの医療従事者も固定概念にとらわれずに脳の可能性を信じているということが大前提にあるでしょう。
そして、患者さんやその患者さんをとりまく医療従事者に柔軟な創造性、イメージ力があること。
などが挙げられます。
これらの著書で紹介されている改善された人達とその患者さんを取り巻く医療従事者の方たちは、幸いにして従来の医学の固定観念に縛られていなかったということでしょう。
「脳の可塑性」という言葉を最初に使った実験心理学の父と呼ばれるウイリアム・ジェームス博士が、1890年に「神経組織には非常に大きな可塑性がある」ということを述べ、その後、1913年にノーベル賞を受賞していた脳科学者であるラモン・カハールが「大人の脳は固定されたもので、不変である」という見解を述べています。
脳は変わるということを述べた学者が100年前にいたにもかかわらず、その間、脳は変わらないというこの方が、医学では定説として教えられてきました。
ここ数年、脳科学のブームによって、「脳の可塑性」という言葉が、一般の人にも目に触れる機会が多くなってきているようですが、一度損傷した脳は変わらないという固定観念を持った人の方が圧倒的に多いようですし、さまざまな医学知識による固定観念によって、自分の身体をがんじがらめに縛りつけて、自分を苦しめている人も少なくはないように感じます。
最近見たテレビ番組で、天気の予報に合わせて、頭痛予報や関節痛予報などを予測しているのには驚かされました。おそらく気圧の変動で頭痛や関節痛になりやすい日にちを予測していると思われますが、テレビからの情報は人がマインドコントロールされやすいので、それを信じている人は、その情報によって、脳が学習されて実際の症状を引き起こす人も少なくはないと思われます。
実際に気圧の変動で症状に悩む方も少なくはないのですが、心身条件反射療法ではその脳の錯覚を切り替える治療を行うとよい結果が得られます。気圧による症状を変えるこことはさほど難しくはないのですが、情報に左右されたり、固定観念が強い患者様には効果が引き出しにくいようです。
永年の臨床を通じて、脳の柔軟性は健康のみならず、人生においてもその人の豊かさをも決定づける重要な要素になると感じます。
脳に柔軟性をつける秘訣は、
今までに思考ラインにとらわれず、新たな思考領域を増やす工夫をすること。
今までの「行動パターン」から異なる「行動パターン」に挑戦すること。
苦手だと思うことに挑戦すること。
不慣れなことに挑戦すること。
などですが、要は脳に楽をさせないようにすることが、健康や幸福への秘訣になるのです。
なぜならば、苦手なことを避ければ避けるほど、脳の使う領域は狭くなり、幸福の感じ方も狭くなります。その一方で、苦手なことに挑戦すればするほど、脳の使う領域に広がりを増して、幸福の感じ方が広がってくるのです。
さあ、使い慣れた「思考パターン」、「行動パターン」を少し休めて、使い慣れない「思考パターン」、「行動パターン」に挑戦しましょう。
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